推奨エンコード設定
クラウドトランスコーディング・モード設定
主なアプリケーションを使用する場合、IBM Video Streaming では以下の 720P 解像度の設定によるシングルビットレートでライブ配信することをお勧めしています。
画質 | 解像度 |
動画ビットレート |
音声ビットレート |
サンプルレート |
フレームレート | 動画コーデック | h.264 プロファイル | キーフレーム間隔 | 音声コーデック | 音声チャンネル |
HD720 | 1280x720 | 1,500 - 4,000 kbps | 128kbps |
44.1kHz または 48kHz |
25 / 30 | h.264 | メイン | 1秒 | AAC-LC |
モノ/ ステレオ |
フルHD 1080P 及び 4K 配信には、エンコード処理をスムーズに作業できる、より高性能の機材やコンピューターと、より高いインターネットのアップロード帯域幅が必要です。 これらの解像度で行うライブ配信は、品質を損なうことなくエンコード処理をスムーズに作業でき、かつ、ライブ配信を送信するのに十分なリソースがあると確信できる場合のみに限定されます。 十分なエンコードリソースやアップロード速度を確保できない状況で、高解像度及び高ビットレートの配信を試みると、画質が著しく低下したり、視聴や録画が中断したり、破損したりするなどの原因になります。
画質 | 解像度 | 動画ビットレート | 音声ビットレート | サンプルレート | フレームレート | 動画コーデック | h.264 プロファイル | キーフレーム間隔 | 音声コーデック | 音声チャンネル |
HD720 | 1280x720 | 1,500 - 4,000 kbps | 128kbps | 48kHz |
25/30/60 |
h.264 | メイン | 1秒 | AAC-LC |
モノ/ ステレオ |
HD1080 | 1920x1080 | 4,000 - 8,000 kbps | 192kbps | 48kHz | 25/30/60 | h.264 |
メイン/ ハイ |
1秒 | AAC-LC | ステレオ |
4K | 3840X2160 | 8,000 - 14,000 kbps | 192kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 | ハイ | 1秒 | AAC-LC | ステレオ |
ローカルトランスコーディングモード設定
ビデオ制作のやり方や、お使いのエンコーディング用機材、使用可能なインターネット回線等によっては、IBM Video Streaming のクラウドトランスコーディングを使用せずに、より低い解像度とビットレート、または、より高い解像度とビットレート設定による配信を希望される場合があるかもしれません。また、最高4種類までのビットレート設定を適用したマルチビットレート配信をすることができます。それぞれの推奨設定は以下に記載しています。
画質 | 解像度 | 動画ビットレート | 音声ビットレート | サンプルレート | フレームレート | 動画コーデック | h.264 プロファイル | キーフレーム間隔 | 音声コーデック | 音声チャンネル |
低 | 480x270 | 400 kbps | 64kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 | ベースライン | 1秒 | AAC-LC | モノ |
中 | 640x360 | 400-800 kbps | 96kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 | メイン | 1秒 | AAC-LC |
モノ/ ステレオ |
高 |
960x540/ 854X480 |
800 - 1500 kbps | 96kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 | メイン | 1秒 | AAC-LC |
モノ/ ステレオ |
HD720 | 1280x720 | 1,500 - 4,000 kbps | 128kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 | メイン | 1秒 | AAC-LC |
モノ/ ステレオ |
HD1080 |
1920x1080 | 4,000 - 8,000 kbps | 192kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 |
メイン/ ハイ |
1秒 | AAC-LC | ステレオ |
4K | 3840X2160 | 8,000 - 14,000 kbps | 192kbps | 48kHz | 25 / 30 | h.264 | ハイ | 1秒 | AAC-LC | ステレオ |
解像度
- 上記の解像度と 16:9 アスペクト比の設定で、ライブ配信することをお勧めします。
- 配信の出力解像度は元の映像ソースに合わせるか、それよりも縮小することをお勧めします。例えば、映像ソースを 720P に設定した場合、出力解像度を全く同じ720Pにする、または 540P に設定する等です。
- 元の映像ソースより高い出力解像度での配信は絶対に避けましょう。例えば、720P で撮った映像を1080P で配信することは無意味なことです。画質が向上することは一切なく、あなた(配信者)にも視聴者にも必要以上のインターネット帯域幅を消費させるだけです。
動画ビットレート
- 市販されている多くのエンコーダーは可変ビットレートエンコーディングを使用しています。可変ビットレートエンコーダーでは、ビットレートを設定するときに、あくまでもターゲットとしてのビットレートを設定していることになります。コンテンツの中の動きのレベルやキーフレーム間隔に応じて、配信中の実際のビットレートは変動し、ターゲットに設定しているビットレートよりも高くなったり低くなったりします。その為、配信に使用するインターネットのアップロード帯域幅に十分な余裕を持たせられるビットレート設定をする必要があります。
- 動きが多いコンテンツを配信する場合、常に同じクオリティーで見せるには、高いビットレートが必要になります。例えば、インタビューなど人が座って話をしているだけの比較的動きの少ないコンテンツを配信する場合は、上記の推奨ビットレート範囲内の低めの設定を適用して問題ないでしょう。しかし、同じ解像度でスポーツイベントやコンサートなど動きの激しいものや、カメラワークが多いコンテンツを、動きの少ないコンテンツを配信するときと同じクオリティーで見せるには、推奨値の範囲内で高いビットレートの適用が必要です。
- より高い解像度で配信する場合、クオリティーを維持するには、より高いビットレートが必要です。配信の解像度を決めたら、上記の設定ガイドラインに沿った設定を適用することが大切です。推奨設定値の範囲内で、様々なビットレートでテストし、納得いく画質になるまで調整しましょう。ビットレートが高すぎたり低すぎたりすると、画質が低下したり、視聴者側の再生バッファリングなどの原因になります。
- 配信に使用するインターネット回線のアップロード速度が限られている場合は、それに応じて解像度とビットレートを下げる必要があります。
音声ビットレート
- 動画ビットレートと異なり、音声ビットレートは多くのアップロード帯域幅を必要としません。320kbps を超えるビットレートを使用しても、人間の聴覚では音質の違いを認識することはできません。上記の推奨設定を適用することをお勧めします。
サンプルレート
- サポートしている最高サンプルレートは 48kHz です。これ以上のサンプルレートはサポートしていません。これより高いサンプルレートに設定した場合、配信や録画に問題が発生する可能性があります。
- 一般に使用されているプロダクション機材では、通常 44.1kHz もしくは 48kHz が採用されます。エンコーダーのサンプルレートは、使用している機材の出力設定と統一する必要があります。エンコーダーと機材のサンプルレートが合致していないと、音の歪みやズレなどの問題が発生します。
フレームレート
- フレームレートは映像ソースとのフレームレートと一致していることが大切です。
- 上記の推奨設定ガイドラインは米国のテレビジョン放送方式(NTSC)に基づいています。NTSC 規格の機器は通常 30 fps が使用されています。NTSC 方式で映像制作をする場合は、エンコーダーのフレームレートも 30 fps に設定する必要があります。
- PAL 方式が採用されている国もあります。PAL 規格の機器は通常 25 fps が使用されています。PAL 方式で映像制作をする場合は、エンコーダーのフレームレートも 25 fps に設定する必要があります。
- IBM Video Streaming では、高フレームレート(HFR)ビデオをサポートしています。つまり、プラットフォームは30 fpsを超えるフレームレートの映像データを受け取り、最高 60 fps までの 高フレームレートのオリジナル映像を配信します。 クラウドトランスコーディングが展開されている場合、オリジナル配信より低い解像度のレンディションには、構成で指定されている低フレームレート(30または 25 fps)で生成されます。
- 高フレームレート(HFR)ビデオの再生は、視聴に使用する機器に大きな負荷をかけます。古いオペレーティングシステムやローエンド機種のスマートフォンやコンピューターでは、HFR ビデオを再生した時に、再生が止まったり、画質が落ちたりします。そのため、それらの機器を使用している視聴者には、HFR ビデオの再生に問題が発生し、視聴できない可能性があります。
動画コーデック
- IBM Video Streaming では、h.264 を推奨しています。現在、最も多く使用されているコーデックで、高い互換性と効率性を持ち、低いビットレートの使用で高い品質を提供してくれます。
h.264 プロファイル
- IBM Video Streaming では、メインプロファイル及びハイプロファイルをサポートしています。それぞれの解像度の推奨 h.264 プロファイルは上記の推奨設定を参照してください。
キーフレーム間隔
- IBM Video Streaming でライブ配信を行うには、キーフレーム間隔は1秒に設定して下さい。お使いのエンコーダーによっては、初期設定が1秒以外の設定になっているかもしれません。配信のクオリティーを維持し、アダプティブビットレート配信がスムーズに展開されるためには、エンコーダーの設定を確認し、1秒以外に設定されている場合は、設定を1秒に変更することが大切です。
- エンコーダーによっては、「自動キーフレームモード」や「シーンチェンジ検出」等の設定が搭載されているものがあります。これらの設定ではキーフレーム間隔が不規則になる可能性があります。これらの設定は、必ず無効にして下さい。
- 重要:キーフレーム間隔を2秒以上、または不規則な間隔に設定すると、配信や録画に失敗する可能性があります。そのような問題を避けるには、必ず正しい設定を適用していることを確認して下さい。
音声コーデック
- IBM Video Streaming のプラットフォームとの完全な互換性のために、必ずAAC-LCを使用してください。
インターレース方式 vs プログレッシブ方式
- IBMVideo Streaming ではインタレース方式の映像はサポートしていません。配信の送信を始める前に、インターレースを解除する必要があります。
- インターレース方式の映像を配信すると、画質の低下や録画の失敗などの原因になります。
- 使用しているカメラがインターレース方式の映像しか送信できない場合、エンコーダーによってはインターレース解除のオプションが付いているものがあるので、その設定を有効にしてから、配信を始めて下さい。
- インタレース映像の詳細については、こちらのページ(英語)をご参照ください。
RTMP、 Fragmented (断片化された)MP4、 HLS について
- 現在、IBM Video Streaming では3つの異なるプロトコルを使用しています。
- エンコーダーから送信された配信のサーバーへの取り込みには、RTMP が使われています。
- 一部の再生環境における IBM Video Streaming HTML5 プレーヤーへの動画配信には、独自の断片化されたMP4 プロトコルが使われています。
- iOS、Android、一部のコンピューターブラウザとそれに接続されたデバイスへの動画配信には、HLS(HTTP Live Streaming)プロトコルが使われています。
- 現在、IBM Video Streaming のインジェストサーバーでは、HLS による直接配信はサポートしていません。代わりに、IBM Video Streaming のクラウドトランスコーディング機能により、エンコーダーから送信された RTMP 配信から HLS バージョンが生成されます。
- IBM Video Streaming のクラウドトランスコーディングとマルチビットレート配信についての詳細、及びデスクトッププレーヤーやモバイル機器で配信が再生される時の解像度やビットレートなどの情報は、こちらのページを参照して下さい。
IPカメラ、 RTP、 RTSP、 HJS、その他の配信プロトコル
- IBM Video Streaming では RTMP 配信の取り込みのみサポートしています。
- IBM Video Streaming から視聴者への配信は、RTMP、HTTP、 HLS 通信にて提供しています。
- IP カメラ(ネットワークカメラ)やその他、RTSP のみ対応の機器を使用する場合、IBM Video Streaming に配信を送る前に、RTMP に変換する必要があります。RTSP による直接配信の取り込みはサポートしていません。
推奨ネットワーク設定・環境
推奨するインターネット回線
- ライブ配信が成功するには、高品質なインターネット接続環境が必要です。メールを送受信したり、ウェブサイトを読んだり等、シンプルな利用に十分な速度の接続回線では、ライブ配信には不十分な場合があります。インターネット回線なら何でもよいというわけではなく、HD ライブ配信を行うためには高品質・高速度のインターネット回線が必要です。ライブ配信で重要なのは、ダウンロード速度ではなく、アップロード速度の方です。
- 接続方法によっても接続状態の質は異なります。WiFi は接続状態が変動しやすく、接続が切れたり、繋がらないこともあるので、なるべく避けましょう。ライブ配信には、その目的のみに使用できるインターネット回線で有線 LAN 接続をすることが最適な方法です。
- モバイルデータ(3G/4G/LTE)通信による接続はあまり信頼できるものではありません。モバイルデータの使用は避け、インターネットに有線LANで接続するか、WiFi 接続をお勧めします。ただし、接続の種類や方法は1つの要素にすぎません。配信を行う度に使用するインターネット回線の帯域幅テストを事前に実施して、ライブ配信を行うのに十分なアップロード帯域幅があることを確認することが重要です。
- 大人数で同じインターネット回線を使用していないことを確認してください。例えば、会社のオフィスやイベント会場等からライブ配信をする場合、大勢の人が同じインターネット回線を使用していると、配信に必要な十分な帯域幅が得られず、配信が不安定になったりするなど、クオリティーに影響が出ます。
- オフィスなどではライブ配信専用に使用できるインターネット回線を確保できることを、 IT 部門に依頼されることをお勧めします。十分な帯域幅があるインターネット回線で、少人数しか同じ回線を使用していない状態であれば、専用でなくても問題はないかもしれません。しかし、大人数で同じ回線を共有している場合、ライブ配信に必要な帯域幅が得ることができません。その場合は、配信専用の回線を確保するか、もしくはライブ配信中は他の人に同じ回線を使用しないようにお願いしましょう。
- ファイアウォールが有効になっている社内インターネット回線を使用する場合、IT部門に配信に必要なファイアウォールの設定について確認をお願いしてください。
- 企業や団体のネットワークをお使いでない場合、または IT部門がない場合は、ご利用のインターネットサービスプロバイダーに、ライブ配信に適したインターネット回線についてお問い合わせください。
帯域幅
- エンコード設定を選ぶ際、アップロード帯域幅を考慮する必要があります。
- speedtest.net などを使って、アップロード速度を測ることができます。このスピードテストをする際、実際にライブ配信をする時に使用するインターネット回線に接続していることが重要です。
- ストリームのビットレートが50%以上の帯域幅の許容範囲を越さないことが高質のストリームを成功させるのに理想的です。例えば、ネットワークテストツールでアップロードスピードが2Mbpsを示したとします。その場合、音声と動画のビットレートは1Mbpsを越さないのが理想です。
- HD高画質で配信したい場合、少なくとも3-8Mbps アップロードスピードが必要です。
- 配信にバッファリング、中断、切断が頻繁に起きる場合は、エンコーダーのビットレートや解像度を低く設定することで通常は解決されます。
配信に使うコンピューターのスペック
CPU リソース
- 使用するコンピューターのCPUとGPUのスペックが、ライブ配信を行うのに適しているか確認しましょう。ライブ配信を行うこと自体、コンピューターに大きな負荷をかけます。
- HD 配信や高ビットレートの配信では、コンピューターがキャプチャとエンコード処理を行うのために、かなりの CPU/GPU の使用を要します。
- 配信が途切れがち、一時停止しまた再生、エンコーダーのアーティファクトが表示される、フレームが落ちる、プレイバックの際予想よりフレームレートが低い。これらはお使いのコンピューターのCPUがライブビデオのエンコード処理についていけないというサインです。
- インプット解像度と配信の出力解像度やビットレートを下げることによって、これらの問題の解決につながります。
- ほとんどのエンコーダーには、フレームレートとCPUの使用量が表示されます。表示されるCPUの使用率に注意を払い、高すぎるようであれば、解像度やビットレートを下げましょう。
- 低フレームレートの配信はとてもクオリティーが悪くなります。静止画像のみなどの極端に動きが少ないコンテンツを配信するような場合でもない限り、解像度を低くして、フルフレームレートで配信することがより良い方法です。。例えば、640 x 360 の解像度で、フレームレートを30に設定して配信する方が、720HDでフレームレートを12に設定して配信するよりも遥かに良いクオリティーの配信になります。